EduVision2014への参加

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教育におけるICT活用に関する知識の獲得、ジャマイカが現在抱えている教育に関する問題点への更なる理解、及び、関係機関との人的ネットワークの構築等を目的にEduVision2014に参加してきました。


開催日時

2014年3月18日(火)・19日(水)

会場

Hilton Rose Hall Resort & Spa @ Montego Bay

概要

テクノロジーによる教育の質の向上をコンセプトとした国際カンファレンス/エキシビションであり、前記コンセプトに関連/賛同する省庁や政府機関、民間企業などが集結し、教育におけるICT活用についての意見交換、及び、技術の紹介を行う。


EduVision2014開催中の2日間、様々なプレゼンテーション、ワークショップ、パネルディスカッションが実施されました。

その中で、自身のボランティア活動内容に関連の深いものについて紹介します。

■WORKSHOP #1 Classroom Management Tools■

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e-Learning Jamaicaは現在ジャマイカ全土の公立学校にタブレット端末を導入するプロジェクトTablets in Schools Projectのパイロットプロジェクトを推進している政府系機関です。そのプロジェクトにおいて、彼らがデバイス管理とクラスルーム管理のために使用するソフトウェアの一例が本ワークショップにて紹介されました。デバイス管理にはTAB PiLOT 、クラスルーム管理にはRadix SmartClass というソフトウェアが使用されていました。共に既製のソフトウェアであり、使用するにはライセンスの購入が必要な有料ソフトウェアです。ここではソフトウェアの詳細は割愛しますが、共にWi-Fi接続を前提としており、IT管理者(もしくは教師)はネットワーク越しにタブレット端末を管理することができます。「ネットワーク越しの端末管理」という点では、私自身の活動であるRio Grande ProjectにおけるGoogle Chrome Management Consoleと同じ機能です。しかし、(すべての機能を把握しているわけではないですが)Radix SmartClassの方が生徒端末を管理するための機能が充実しているように感じました(例えば、教師端末上に生徒の画面を一覧で表示する機能、教師の画面を生徒端末に投映する機能、生徒端末をロックする機能など)。

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なお、本ワークショップでは参加者用に複数台のタブレット端末が用意されており、それらはすべてSamsungのGalaxy Tab 2 (GT-P5110) でした。また、管理ソフトウェアとして前記の通りTAB PiLOTとRadix SmartClassが使用されていました。しかし、実際のパイロットプロジェクトでは4社のサプライヤーがそれぞれ異なったタブレット端末・管理ソフトウェアを提供することになっているそうです。つまり、4種類の異なったソリューションが提供され、パイロット期間に性能・機能比較される予定です。

<ソリューション一覧>
(1) Radix SmartClass, NetManager
(2) 3CX mobile device manager
(3) AirWatch mobile device manager
(4) Citrix XenMobile device Manager

■WORKSHOP #2 Tablets Integration■

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e-Learning Jamaicaはタブレット端末だけでなくインタラクティブホワイトボードの学校現場への導入も推進しています。本ワークショップでは、インタラクティブホワイトボードMimio Boardが紹介されました。タブレット端末と共に導入することで、より双方的で協同的な授業を可能にします。ワークショップのタイトルから、タブレット端末とインタラクティブホワイトボードの連携についての話を期待していましたが、Mimio Boardの紹介に留まったため、その点は残念でした。今後どのように教育現場でタブレット端末とインタラクティブホワイトボードが連携していくのか、期待して見ていきたいです。

■WORKSHOP #3 Using OERs in the Flipped Classroom■

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Flipped ClassroomにおけるICT利用に関する内容でした。Flipped Classroomという言葉は初耳でしたが、日本語では反転授業と呼ばれ、「生徒たちは新たな学習内容を、通常は自宅でビデオ授業を視聴して予習し、教室では講義は行わず、逆に従来であれば宿題とされていた課題について、教師が個々の生徒に合わせた指導を与えたり、生徒が他の生徒と協働しながら取り組む形態の授業」のことです (Wikipediaより)。本ワークショップではFlipped ClassroomにおけるICT利用の具体的例としてTED Edが挙げられていました。教師はTEDが提供する動画にクイズなどを付加してオリジナルのレッスン動画を作成し、公開することができます。そのレッスン動画を活用して、Flipped Classroomを運用するというのがワークショップの大まかな内容でした。TEDは良質な教育コンテンツを無料で提供しており、Flipped Classroomだけでなく教育現場の様々な場面において有効活用できると感じます。

■全体を通した所感■

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普段は教育省支局のオフィスでパソコンに向かっていることが多いため、この2日間は非常に刺激のある貴重な経験となりました。また、普段はなかなか会うことができない教育関係、及び、IT関係の方との交流が持てたことも、非常に大きな成果です。
自身のボランティア活動に関連する内容としては、e-Learning Jamaicaのワークショップを通して、教育現場におけるクラウドコンピューティングの有効性を感じたと共に、安定したWi-Fiネットワークの供給が必須であることを痛感させられました。どれだけコンテンツが充実していても、クラウドコンピューティングである以上はネットワークが安定していなければ、非常に使い勝手の悪いシステム、最悪の場合は全く使い物にならないシステムとなってしまいます。特にGoogle Chromebookは、e-Learning Jamaicaのタブレット端末とは違い、完全にクラウドに依存したシステムのため、ネットワークの供給について細心の注意を払っていかなければなりません。また、ネットワークと共に重要であると感じたのは、教師へのトレーニングです。EduVision2014のワークショップやプレゼンテーションにおいて、システムの機能自体の紹介はよくされていましたが、もう1歩踏み込んで「教師が生徒に対してこういう使い方をすればこんな効果がある」といった具体的な使用例や成功例の紹介があまり見受けられませんでした。しかし、教育におけるICT活用において、最も重要なのはその部分であると考えています。実際に教育現場で子供たちに対してICTを使うのは教師です。その教師が、ICTの効果を理解し、有効活用できなければ、教育省やIT管理者がどれだけ優れたICT環境を提供しても無意味になる可能性があります。私自身の活動において一番力を入れたいと考えているのが教師へのトレーニングであるのはそのためです。e-Learning Jamaicaがこれから本格的に教師に対するトレーニングを開始するため、積極的に連絡を取り、より連携を強めながら、残りの1年3ヶ月の私自身のボランティア活動をより良いものにしていきたい。

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そして、EduVision2014最後のひとコマ。

なぜか司会者が熱唱するっていう。しかも3曲も。

やはりジャマイカ、まだまだ奥が深い。

クルーズ船 “Delphin” の到来

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朝の通勤時、海沿いの道をタクシーで移動していると、港にでかいクルーズ船が停泊しているのが見えました。

港には年中、小・中型の船が停泊していますが、クルーズ船が来たのは、私がポートアントニオに来て8ヶ月目にして初めてです。

クルーズ船の名前は “Delphin” で、600人収容できるそうです。

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いつかクルーズ船に乗って国々を巡ってみたいと思っていますが、協力隊期間中は渡航できる国が制限されているので難しいですね。

いつか、きっと。